Hannover Messe: Friedrich Merz首相がRittalとEPLANのブースを訪問

AI時代の課題は「発熱」か? Friedrich Merz首相との対談

AI、データセンター、競争力 ー Friedrich Merz首相のHannover Messe訪問にあわせ、RittalとEPLANは、グローバル競争の激化を背景に、産業界が成長戦略を見直し、その実現に向けてITインフラの強化を加速させている現状を紹介しました。

Hannover/Herborn: Friedrich Merz首相は、EPLANおよびRittalの展示ブースを訪問し、強い関心を示しました。Friedhelm Loh氏(Friedhelm Loh Group オーナー兼CEO)は、産業界が大きく差し迫った課題に直面する中で、産業の革新力に光が当てられていることは、いまの状況に即した適切なタイミングであると述べました。

グローバル市場における競争が一層激化し、産業の成功モデルの見直しが求められる中、その解決の方向性を示すものとして、RittalとEPLANは首相に対し、今後の産業成長をけん引する技術を紹介しました。現在、産業界では、産業用ソフトウェアとオートメーションの領域において、AIを軸とした技術変革が進んでいます。AIの活用拡大に伴い、新たな技術を備えたデータセンターへの需要も急速に高まっています。Rittalはすでに、大手クラウド事業者向けに年間18万台のサーバーラックを供給しています。

Merz首相は「ここで既に実現されている技術に大変感銘を受けました。連邦政府のデータセンター戦略は野心的です。2030年までにドイツ国内のデータセンター容量を倍増させ、世界的なハブとなることを目指しています。産業界にAI活用が不可欠であると認識しているからです」と語りました。

一方、Loh氏は「成功は保証されているものではありません。企業としても政治としても、優先順位を明確にし、努力を重ねる必要があります。私たちは未来を愛するがゆえにイノベーションを推進しています。そしてテクノロジーのリーダーとして、最新技術によってお客様の競争力をさらに高める責任があります。そのため、データセンター構築の分野においても先導的な役割を果たしています。」と述べました。

壁面サイズに凝縮された“2万台分”のコンピューティング性能

CTOであるPhilipp Guth氏は、Rittalの開発成果の中でも特に重要なポイントを、視察に訪れた政治関係者に説明しました。マットブラック仕上げで中央に光沢のあるステンレス製チューブを配したその展示は、RittalとEPLANの共同ブース中央に設置されています。一見すると壁面収納ほどの大きさですが、見方によっては極めてコンパクトとも言えます。

このモジュールは、100万ワットを超えるAIコンピューティング能力を支えるITインフラを、液冷技術、サーバーラック、電力分配の組み合わせで構成しています。その性能は、一般的なノートPC約2万台分に相当しますが、装置自体は驚くほど省スペースに収まっています。サーバー内部には毎分最大1,500リットルの水が直接循環し、AI処理に伴う膨大な発熱を抑制します。さらに、この排熱は暖房用途として再利用することも可能です。

AIを支える基盤技術

Philipp Guth氏は次のように説明します。
「こうしたインフラソリューションは、AIとデジタル化によって加速する産業成長に不可欠です。データセンターの拡張には、スピードと新たな技術が求められています。」

従来はニッチとされていたチップの直接水冷や新しい電力分配アーキテクチャといった技術も、今後は高い標準化のもと、世界中のAIデータセンターで大規模に導入していく必要があります。欧州においては、独立性と独自のサプライチェーンを備え、高い付加価値を生み出すインフラの構築が求められており、これはドイツ政府が3月に示したデータセンター戦略にも反映されています。Rittalは、製造業がすでにその準備を整えていると強調しています。

ヘッセン州に本拠を置くRittalは、グローバルな生産ネットワークを背景に、エンクロージャシステムや冷却分野での市場リーダーであると同時に、産業用ソフトウェアにおけるAI活用の先駆者でもあります。また、長年にわたり世界の主要クラウド事業者やサーバーメーカーのほぼすべてにITラックを供給してきました。新たな冷却液分配ユニットも自社で開発しており、生産は自社工場で行い、サプライチェーンと付加価値創出の基盤を欧州に置いています。さらに、同社は国際的なOpen Compute Project(OCP)にも参画し、グローバルなデータセンター標準の策定にも関与しています。

「インフラ拡張において鍵となるのは標準化です。私たちはOCPのルールに準拠し、他のデータセンターと同様の方法で運用・保守できるよう設計しています」と Guth氏は述べています。首相ならびに関係者は、その具体例として、サーバーのようにスライド式で着脱可能なポンプユニットを視察しました。システム稼働中でも容易にメンテナンスが可能です。

展示ブースでは、フリードヘルム・ロー・グループの各社がどのように連携して顧客の生産性向上や効率化にどのように貢献しているか紹介されました。EPLANのソフトウェアによるデジタルオートメーションとAI活用、Rittalのシステム技術や製造設備、さらに最大75%の省エネを実現するスマート冷却ユニット(環境配慮型冷媒R-1234yf対応)などが統合されています。加えて、Rittalは自社のスマートファクトリーにも顧客のデジタルプロセスを拡張しており、この工場は「Factory of the Year 2025」コンペティションで総合優勝を獲得しています。